【今年も猛暑の予測】温暖化とラニーニャ現象影響で過去最高の暑さ
東京新宿の通勤風景。2020年6月11日 Photo: shigemi okano/Shutterstock
2025年5月23日 – Energy Tracker Japan
最終更新日:2025年6月6日
この記事の要旨
2023年、2024年と、世界平均気温は2年連続で過去最高を記録。2025年の夏も地球温暖化の影響に加え、ラニーニャ現象や太平洋高気圧の強い張り出しが重なり、世界的に猛暑が危ぶまれている。
猛暑の原因は地球温暖化に加え、ラニーニャ現象や海面水温の影響。日本では偏西風の北上により、南からの熱気が入りやすくなる見通しだ。
日本では真夏日の増加により春秋の気温上昇幅が大きくなっており、四季のうち春と秋がなくなる「二季化」の未来が示唆されている。
2025年までの世界的猛暑を振り返る
2024年7月21日、世界平均地表気温は観測開始以来最高の暑さとなる17.09度を記録した*。世界各地で異常高温が発生し、各国の月平均気温や季節平均気温は、次々と過去最高を更新。米カリフォルニア州デスバレーでは53.3度という驚異的な気温が観測され、オーストラリアでは8月の気温として史上最高となる41.6度を観測している。
国内でも東日本では、7月から8月の平均気温が平年より2度以上高くなり、福岡県太宰府市では7月19日から8月27日までの40日間連続で35度以上となる猛暑日*が観測された。
世界気象機関(WMO)によると、2024年の世界平均気温は、産業革命以前と比較して1.55度高くなり、初めて1.5度を上回った。日本の平均気温も観測史上最高となった。

2025年に入っても異例の暖かさはなお続いている。これはエルニーニョ現象が終息し、弱いラニーニャ現象に移行していることを考えると極めて異例の事態だといえる*。
猛暑日とは
1日の最高気温が35度以上となる日を指し、30度以上の日を真夏日、25度以上の日を夏日という。また、近年は日本気象協会が命名した40度以上の日を指す酷暑日も使用されるが、気象庁が公式に使用しているのは猛暑日までとなっている。
2025年夏も猛暑となる
本来、エルニーニョ現象の影響が顕著でない年には気温は平年並みもしくは低下する傾向があるが、エルニーニョ現象と対であるラニーニャ現象が発生すると、冬は寒く夏は猛暑という極端な気温がもたらされる傾向がある。
ラニーニャ現象とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から、南米沿岸にかけて海面水温が平年より低くなる現象であり、だいたい1年程度その状態が続く。2025年5月現在、エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態とされるが、太平洋熱帯域の海面水温はラニーニャ寄りの分布となっている**。
日本の夏に特化した見通しとしては、ベンガル湾付近からフィリピン東部にかけて、海面水温が高くなるとの予測が強く影響する。南アジアからフィリピンの北東にかけて、雨雲が多く発生しやすくなるため、偏西風の流れがいつもより北寄りとなり、日本付近には南からの暖かい空気が流れ込みやすくなる。そのため2025年の夏も日本は猛暑となる可能性が高い*。

5月20、21日には全国200地点以上で30度以上の真夏日が観測され、内陸部の岐阜県飛騨市では、最高気温35度の猛暑日となった*。
日本気象協会は、4月時点で、6月は関東の一部と東海から九州でWBGT(暑さ指数)に基づく熱中症傾向が「警戒」ランクとなる地域が多くなると予測。7月は関東から沖縄の広い範囲で、「厳重警戒」ランクになると注意を呼び掛けている*。
2025年夏の地球温暖化影響
2025年の夏は2024年と2023年に続き、観測史上最も暑い3年の内にカウントされる年になると予測されている*。
地球温暖化の影響で、世界の年平均気温は過去100年あたり0.77度の割合で上昇を続けている*。温暖化が進行することで猛暑日の訪れが早まり、また長期化する懸念がある。地球温暖化による気温上昇は、産業革命以前(1850〜1900年)と比較した気温上昇が3年連続で1.3度を超える可能性が高い*。
世界気象機関(以下、WMO)は、47%の確率で1年単位ではなく5年間の平均でも1.5度を超える確率があると発表している。

実際、2025年1月はWMOの記録上、最も暖かい1月となった。2月は過去3番目に暖かく、3月は2016年と並び2番目の暖かさだった。結果的に、2025年最初の3カ月は複数の科学団体の記録において、最も高気温である上位3位に入っている*。
2025年の梅雨入り梅雨明け
2025年は太平洋熱帯域西部の海面水温が高く、太平洋高気圧の北への張り出しが強くなるため、梅雨前線の北上が早くなる見込みだ。
梅雨入りも梅雨明けも全国的に2024年より早まる可能性が高いが、地域でのばらつきが大きい。気象庁は九州南部地方が5月16日、沖縄奄美地方が5月19日に梅雨入りしたと見られることを発表した。九州の南部がトップ梅雨入りを果たすのはこれまでになかったことである。
関東から九州地方は6月上旬で平年並み、北陸や東北は6月中旬で平年並みまたは、平年より遅い梅雨入りが見込まれている*。

梅雨が明けた後に待っているのは、全国的な猛暑だ。梅雨明けに猛暑が訪れるメカニズムには複数の要因が関係するが、そのひとつには前述したラニーニャ現象があげられる。
ラニーニャ現象の影響で、関連する海域で活発な海水の蒸発が発生するため、雨雲がの発達を促し、積乱雲とともに上昇した空気が日本の北東側で下降気流となり太平洋高気圧の勢力拡大を早める*。
例年、日本はゴールデンウィーク近辺から台風シーズンに突入するが、今シーズンはまだ台風が発生していない。しかし、温暖化の影響は台風の発生数ではなく勢力の強さに影響するため、予断はできない。
日本は二季化するのか
2024年の日本は暦上は秋である10月も猛暑日が多く、最初と最後の真夏日までの期間が、129日間と異例の長さで暑さが継続した。約100年前の東京の30度以上の真夏日は、40〜50日ほどだったが、現在は倍の80〜90日にまで増えている**。
要因としては地球温暖化による海面の水温上昇が挙げられ、特に日本周辺海域の極端な温暖化の影響が大きい。海面水温は気温と比べて急に上下せず、温まった海面水温の持続が、残暑に季節外れの高温の海風を引き起こし、陸上の蒸し暑さの主因となる。

2024年9月に能登半島を襲った豪雨の要因の一つにも海面水温の上昇があげられる。海水が温まることで大量の水蒸気が発生し、水分を多く含む雲が形成され大雨となって陸地を襲う。温暖化による海面水温の上昇は集中豪雨の発生条件となり、洪水などの水害を助長し、気象災害の可能性を高めているのだ*。
▶︎近年日本で起きた水害一覧
気象災害に限らず、猛暑は人間の生活に多大な影響を及ぼしている。2024年7月10日には、「強い熱ストレス」が年間最大記録を更新した。
熱ストレスとは、身体が生理的障害を起こすボーダーラインを超えた暑熱を指す*。2024年には、地球の約44%が「強い〜極度の熱ストレス」に晒されていたことがわかっている。これは平均的な年間最大面積と比較して5%の増加となる。
日本の平均気温における100年あたりの上昇幅は、夏が1.3度、冬が1.2度、対して春が1.7度、秋が1.4度となっており*、春と秋の上昇幅が日本から2つの季節を消滅させかねないと危惧される。温暖化の加速は、将来的に日本が春と秋という穏やかな季節を失ってしまうこと、「二季」の可能性の現実味を帯びさせる。